展示・イベントタイプ:A
「会期中の金・土・日・月曜」に開催する展示・イベント

PLAYERS:Erik Satie Je te veux

小野龍一

 「壊れていく音楽」が好きだ。アマチュアの演奏会における緊張した身体から楽曲が崩れていく光景、たくさん傷の付いたCD、風雨に晒され狂っていく楽器の調律。廃墟のような柔らかい美しさをそこに感じる。  本作のベースになっている楽曲《Je te veux》(1900)は、フランスの作曲家エリック・サティ(Erik Satie 1866-1925)によって作曲された『ワルツと喫茶店の音楽』という歌曲集の一曲で、作曲家本人によるピアノ編曲版でもよく知られている。この楽曲を9つのレイヤーに分解し、それぞれが異なるタイムラインでバラバラに進行していく。プレイヤーを起動するスイッチャーによるタイミングのズレ、個々のプレイヤーの持つ微細な特性の違いによるズレなども重なり、音楽が壊れていく過程からオルタナティブな音風景が空間に立ち上がる。(off COFFEE.にて展示)

音楽家。東京藝術大学作曲科卒業後、同大学院美術研究科修了。音と人の関係性の「変奏」をコンセプトに領域横断的な制作を行う。近年の公演・展示に「RED WALTZ」(アトリエ第Q藝術, 2022, 川口隆夫との共同制作)、「奥能登国際芸術祭2023」(石川県珠洲市, 2023), 「キャンプ場で作るカレーはどこの家にもない味がする」(東京芸術劇場 シアターウエスト, 2024)など。東京藝術大学 芸術未来研究場 特任研究員。

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※2025年10月6日時点決定分