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栗原 莞爾
Kanji Kurihara
東京藝術大学 大学院 美術学部 芸術学専攻 美術教育研究室 在学
多摩美術大学卒業後、都立の美術科非常勤講師に1年勤務し、現在は東京藝術大学の大学院に在学している。
色彩の視覚的効果を大きなテーマとして数々の作品を展開し、現在は自然がもたらす心理的な影響と色彩の視覚的効果ついて研究し、平面作品を主体として活動している。また、教育における美術的価値と教育効果について日々研究している。
場所:<京島エリア>⑫京島の家_京島3-58-5
ゆらぎの観測
“ゆらぎ”という言葉の存在を知ったのは、木の年輪の断面図などが載っている植物図鑑を眺めていた時のことであった。年輪から読み取れる同心円状の模様には不規則なリズムが存在し、この不規則なリズムのことをどうやら“ゆらぎ”と呼ぶらしい。
この“ゆらぎ”は年輪以外にもロウソクの炎や小川のせせらぎにも存在する。このリズムには癒しの効果があるらしく、よく「自然を前にすると安らぎが得られる」と言われるのも、このゆらぎの効果のおかげなのだとか。
都会の街並みを見渡してみると、ありとあらゆる場所でこの“ゆらぎ”を感じることができる。
例えば、東京にある表参道通り。煌びやかなお店が連なる中、ケヤキ並木がズラリと並んでいて建物と隣接している。
規則的な建物の中に不規則的なリズムが加わることにより、調和が生まれ、ぬくもりや安らぎを感じることができるのだ。
色彩にも同じようなことが言える。ホスピタルアートのように、色彩には心を動かす、いわゆる心理的な影響が存在する。
私は感情と接点のある色彩効果やその可能性と合わせて、自然における“ゆらぎ”の心理的効果とその影響を本作で観測していきたいと考えている。