アーティスト

A body on the border of the land – 土地の境界にある身体 –

Nana Biakova  ナナ・ビアコバ

本作品は、2021年、東京のアーティスト・イン・レジデンス“co・iki” が主催するオンラインで実施したリモート・レジデンシーPOLYTOPIA(ポリトピア)に参加し、また同時に物理的にレジデンス滞在しながら制作したプロジェクトである。

当時、宮崎と東京を行き来しながら、異なる環境(宮崎市にある密かな海岸、二つの異なる場所)を通して、私は移民/よそ者としての自身の身体を考えながら、アイデンティティ/非アイデンティティの移行状態を探求していた。
即興的な反復運動を通して、私は自分の身体の記憶(幼少期からのもの、忘れ去られたもの、使われなくなったもの)を探索し、その場の環境や台風後に海の向こうから漂流してきたオブジェと触れあっていた。
これらのオブジェは、忘れ去られた記憶のメタファーであり、一度捨てられたり失われたりしたモノは消え去ることはなく、またモノの記憶も消えないという考えに基づいている。

このシリーズは、繰り返される動きのパターンと、始まりとも終わりともつかないいくつかのビデオ・ハプニングで構成されている。

ナナ・ビアコバは、キーウ(ウクライナ)と東京(日本)を拠点に、身体表現を軸に活動するパフォーマンスアーティスト、ビジュアルアーティスト、研究者。
アイデンティティ、記憶、実物性、移住というテーマに焦点を当て、境界線、移行状
態、人間と人間以外の身体について探求している。
彼女はしばしば取り巻く環境やオブジェクトと戯れながら作品を制作する。
2016年より、第2次大戦後の日本のアバンギャルド芸術である舞踏を実践し研究している。