アーティスト

Our Timeline

東京大学復興デザインスタジオ@向島電化ハウス

 一般的な防災タイムラインとは、災害が起こってからの状況や動きを事前に想定し、時系列に沿って計画したものを指します。個人の行動を想定した「マイタイムライン」を作る動きもありますが、災害時の避難や復興過程では個人の枠組みを超えた地域での協力が大切です。
 そこで私たちは、個人からコミュニティへ、家から地域へ、短期から長期へと視点を広げ、「Our Timeline」を作成しています。「Our Timeline」では、町会など地域のコミュニティをひとつの単位としており、時間軸としては発災直後(~1日)、避難生活期(3日~1、2週間)、生活の立て直し期(1ヶ月~半年)、生活の復興期(半年~)の4時点を想定しています。「Our Timeline」の展示を通して、地域の人々が考える「防災計画」への理解を深めること、そして地域防災の取り組みについて当事者意識を持つことを目指しています。

 「Our Timeline」を作成するにあたって、京島に住む人を対象に事前にワークショップを行い、地域住民ならではの視点で、災害時・復興時に重要となるスポットや知見を収集しました。さらにすみだ向島EXPOの期間中に開催されるツアーの参加者の知見も収集し、京島のまちの模型に時間軸に沿って投影していくことで、「Our Timeline」が更新され続ける様子を見ることができます。さらに、各時点での被害状況が理解できるような資料や、これまでの私たちの活動記録の展示に加え、観覧者自身が描きこめる京島地区の白地図を用意し、「Our Timeline」の作成に参加できる場所ともなります。
 ツアー実施日には展示場所はツアーの活動拠点となり、出発前後にみることで、より学びを深めたり、参加者同士が交流する場にもなります。

 東京大学で建築・都市・土木、それぞれ異なる専門分野を専攻する5人の学生が、復興デザインスタジオという講義を通じて、1つのチームを結成しました。私たちは、地域住民のつながりを生み出し、活かすような防災・復興のひとつの形として、「Our Timeline」を作成する活動しています。これまで京島でのインタビュー活動やワークショップの開催を通して、この地域ならではの防災と復興について調べてきました。すみだ向島EXPOでは、この京島を舞台とした「Our Timeline」を作り上げます。
 (上野の国立科学博物館でも11月末まで展示およびツアーを開催中です。)